Web開発グループのグループマネージャーをやっている大力です。
現在当社は拡大路線をとっており、エンジニアもさることながらエンジニアリングマネージャーのニーズも高まっています。
エンジニアリングマネージャー、なかなか集まらないんです。採用活動でもエンジニアリングマネージャーになると急に難易度が上がるように感じています。
そこで、本記事で私がこの会社でマネージャー業務として『どんなことをやっているのか』を書くことで、マネージャー候補へのアピールとか敷居を下げるようなことができないかと思って筆を執りました。
まさに、当社の掲げている『「働く」のすべてをオープンに』の一環とも言えますね。
『私のしている』エンジニアリングマネージャーの仕事とは
会社によってマネージャーの仕事というのは結構違うので、あえて『当社』と限定をします。というより、私のマネージャーとしての仕事という限定になります。
※つまりは予防線ですね。
まず私はプレイングマネージャーという立場でして、PJに属してそこで実際に手を動かして設計・実装などのいちエンジニアとしての働きをする一方で、目標管理とか手順作成とかのマネージャーとして仕事もしています。
プレイヤーとしての働きは、たぶん一般的なエンジニアとかエンジニアリーダーというものから外れてはいないでしょうし、本旨ではないので今回は割愛します。
マネージャーとしての仕事については、大きく分けて二つに分類できます。
一つは人材育成などの『ヒューマンリソース管理』。もう一つは、『組織体制づくり』などと呼んでいるものです。
※どちらも私が勝手に名付けました
ヒューマンリソース管理
こちらは、いちエンジニアでいたときも上司の動きを見ていてそれなりに認識していたものです。メンバーの成長を促進させるため目標を設定したり、モチベーション管理として1on1をしたり。
現在私は『若手育成』を期待されている立場でもあり、このメンバーの成長を促進させる、という点でいろいろとやっています。
例を具体的に書いていきます。
まだ経験したことのない複雑度の高い案件を、ギリギリ達成できそうなメンバーにアサインします。アサインして放置するとたぶん大惨事になります。なのでこの後のサポートがマネージャーに期待されている仕事となります。
まず最初にやるのは、難しい案件をどのように着手してリリースまでもっていくかという全体の流れを大まかに説明します。大体の流れを説明した後工程をおおざっぱに分割し、それぞれの工程を着手する直前にその工程の中身の細かい説明をしていきます。その際重要なのは、単純に作業内容だけを説明するのではなく、『なぜ』この作業をするのか、『なぜ』この判断をしたのか、などの裏側や経緯なども併せて説明していきます。実のところ、これをするために今まで自分で実装してきたところについても、再度なぜなぜ分析ではないですが、自身の判断根拠などを調べてまとめたりする必要があります。
※これをした結果、今期はエンジニア勉強会2コマ分の資料が副産物としてできました。
たいてい若手エンジニア(だけではないと思うが)は、『よくわからない』『あいまいな状態』で仕事をするのに強いストレスを感じると思います。なのでこの『知らない』状態をしらみつぶしにつぶしていくというのが初手の作業になります。
正直言いますが、自分が実際に手を動かしたほうが何倍も速いです。マネージャーをやっていなかった前々職のときなんかは、『自分が3人分ぐらい働けば他人の育成とかしなくてもよくない?』とか普通に思っていました。
ですがしばらく育成を続けていくと、いつの間にか育った若手に『似た』案件なら『丸投げ』することができるようになってきました。事細かに判断根拠まで含めて伝えたおかげですね。マネージャー・リーダーの仕事の負荷が一気に減っていきます。
蒙が啓けました。育成、楽しい!そして、案外ストレートにリターンが自分に返ってきます。
マネージャー、いいですよ。
組織体制づくり
組織体制づくり、これはちょっと複雑です。なのでまずは見えやすい部分から説明していきます。
マネージャーは仕事の一つとして『判断』というものをしないといけません。判断をするとき、手順や指針などが会社にある場合はそれに従いますが、そうじゃない場合は『どうするのがこの会社にふさわしいか』を考えたうえで判断することになります。エンジニア案件で分かりやすい例でいうと、『発生率1%未満で、リロードすれば直る表示系のバグ』を『今すぐリバート』するか『なるはやで修正リリースするか』『放置するか』というような判断です。一般知識では正解はありませんし、会社によって対応は違うと思います。
なので、こういったときは私が勝手に名付けた『会社の色』というのを見て判断をします。例えばお堅い役所系や信用の大切な企業の場合、今すぐリバートすべきと判断しますし、スタートアップのベンチャー系の企業は何よりもスピードが重要なため、放置して他の案件の開発にリソースを回すという判断になります。
会社の色とは、経営陣が作る会社のスローガンや理念といったものがベースに、社外・社内に発表している各種発表物や『社内の手続きや方針』によってつくられています。下に行くほどより具体的で、実施しやすく、上に行くほど汎用性は高いがあいまいでそのままでは使いづらいです。
なので、マネージャーは判断をするとき、それが頻発するものならなるべく判断を簡単にするために『社内の手続きや方針』を作ります。もしくはその一歩上の社内への認識の展開などの発表物を作ります。会社の色に沿った判断をするために作っていくわけですが、そうやると逆に会社の色が整っていきます。
この流れが組織体制づくりなのではないかと最近思っています。
前職とかでいちエンジニアだったときは、なぜ社長はあんなにスローガンとかそういったあいまいな概念を発表して浸透させようと頑張っているんだろうかと思っていましたが、こういった判断根拠となるような会社の色を作るための一番大切な土台だと考えると、なるほどなと思えてきます。最近、何となくそこら辺の必要性というものがつかめてきた気がします。
と、具体性のない話をつらつらと書くと目が滑ると思いますので、具体例も書いていきます。私がやったちょうどいい具体例がなかったので、他のマネージャーがやった内容ですが、ChatGPTの利用に関する指針と手続きの制定です。
完全に新しいツールであるため、当然ながらChatGPTを社内で利用していいかどうかという判断をするための手続きや指針というものは社内にはありません。もちろん一般常識で判断するようなものでもないです。そこで当社の色から検討を進めていきます。
『働くをオープンにする』というスローガンからわかるように当社は先進性を高くして、保守より革新側の企業です。そこに乗っかると、ChatGPTを全面禁止のような判断はNGです。一方で、扱っている情報は「クチコミ」といったかなりセンシティブな情報であり、あけっぴろに使っていいとは言い切れません。そういった会社の色を見ながら最終的には、アカウント申請制にして、アカウント登録を会社側で実施(会社に紐付け)し、アカウントに共通でOpenAIのモデル学習に入力データを利用させない設定をつけることになりました。また、クチコミなどのサービスデータの投入を禁止という方針も決められました。
こういった判断~方針決定という流れをすることで、会社の色を強めることができた動きだと思いました。
『中途』からエンジニアリングマネージャーになる点
マネージャーの仕事内容というか、マネージャーの仕事に対する考え方とかを書いていきましたが、最後に目的としている『マネージャー候補へのアピールとか敷居を下げる』の部分として、中途からマネージャー候補として採用されたときの心構えとかも書いておきます。
私もオープンワークにはマネージャー候補として中途採用で入社し、仕事に慣れるまで2,3カ月いちエンジニアとして働いた後は、すぐにマネージャーとして働くことになりました。この場合、普通のたたき上げのマネージャーと違って以下の点でデメリットがあります。
・人の把握:メンバーそれぞれが何が得意で、何が好きでといった社内の人間の知識が少ない
・ドメイン知識:サービスの細かい仕様や当時の経緯とかの知識が少ない
なので私はいくつかの方法でこの部分を解決してきました。
まずあまりに王道ですが、いろんな人に聞きまくることです。仕様がわからない、誰が担当だかわからない。そういった分からないことについて、ドキュメントとか読んでいけばわかることが結構ありますが、逆に知っている人に聞けば一瞬で答えが返ってくる類の問題については、いろんな人に質問を投げて聞いてしまいます。入社直後の段階ということもあり、この特権を存分に使えます。
そうやっていろんな人を経由して質問をしていくことで、人との交流も、ドメイン知識も一緒に獲得していくことができますし、周りに自分のことも知ってもらえるようになります。
※まるで新入社員の頃の動きのようです
そして、もう一つ気を付けてやっているのが、自分側からの提供をガンガンやることです。相手の人となりを知りたい場合は、まず自分のことをしっかりアピールする。ドメイン知識が欲しい場合は、他の勉強会で他社での経験の展開を行うとか。これをすると、やり取りにいろいろと引け目を感じなくなり、「ガンガン行く」が使い続けられます。
そして何よりも言いたいのが、この会社の人たち、みんなこういった質問とか相談とか投げると、いやな顔せずにわらわらと集まって、あーだこーだと解決しようと協力してくれる『善性』が高いです。何社か転職していて比較できるのでなおさらわかりますが、素晴らしいことだと思います。
これも、上述の会社の色だと思います。
最後に
なんだかんだ書きましたが、エンジニアのマネージャー候補になってくれる方を現在募集中ですので、よろしくお願いします。