アプリエンジニアの大林です。
自分が所属するネイティブアプリプロジェクトでは先の5月半ばから「Fun, Done, Learn」という振り返り手法を導入しました。
最初は実験的にやってみよう!と始めましたが、そこから定期開催するようになって2ヶ月ほど経過し、現在はプロジェクトのルーティンの1つになっています。
今回の記事では「Fun, Done, Learn」を始めた理由、現在の開催方法、得られた効果について書いていこうと思います。
Fun, Done, Learnとは
2018年のScrum Coaches Retreat in Okinawaにてコーチたちによって提唱されたふりかえりの手法です。
Fun(楽しかったこと)Done(完了したこと)Learn(学んだこと)の3つの輪を重なるように描いたボードを準備し、チームでふりかえった内容を分類していくというシンプルな内容になっています。
提唱された安井力(@yattom)さんのQiita記事で概要が説明されていますので、詳しくはこちらをご参照ください。
ファン・ダン・ラーン(FDL)ふりかえりボード #スクラム - Qiita
なぜ始めたか
以前からプロジェクト全体での振り返りの時間を隔週で定期的に設けていましたが、メンバーから議題の提出があった場合には、それについて話し合うというスタイルを取っていました。
このような議題提出型だと、いわゆる“Problem”しか扱えないことが少し気がかりでした。
振り返りを淡々と課題と解決を取り扱う場にするのではなく、メンバー同士の関係性を前向きに強化できる場にしたい。
そうして前向きに対話ができる状態を作り出した方が、議題提出型の話し合いもより上手くできるようになるのでは?
といった思いが自分の中にあり、それをメンバーに共有してみたところ同意を得ることができました。
そこで、よりポジティブな振り返りも試してみたいということで「Fun, Done, Learn」の実施を決めました。
私たちのFun, Done, Learn
最初に紹介した記事の手法をベースにしつつ、使うツールや開催頻度、ルールをアレンジしています。
- 使用ツール
- Figjam
- 頻度と時間
- スプリントレビュー前の30分間で実施(隔週)
- ルール
- 1人が書ける付箋は3枚に制限
- 発表を聞いて、他の人がFun, Done, Learnの円に付箋を移動する
リモートで実施するためにオンラインホワイトボードとしてFigjamを使っています。
付箋を貼るのはもちろん、自由にスタンプやステッカーを押したり、BGMもかけられるので振り返りの場に気楽さやラフな雰囲気を演出するのに役立ってくれています。
実施はスプリントレビュー前の30分を使って行っています。
プロジェクトでは2週間スプリントのスクラム開発を採用しているので、隔週開催になります。
Fun, Done, Learnの後にレビューに臨むと、レビューも前向きな気持ちでやりやすいという声があったので、このようなMTG(ミーティング)配置にしています。
実際のFun, Done, Learnの流れは以下のようにしています。
- 今スプリントでの出来事・やった事を思い出しながら、各自でプール(上図参照、紫の四角のエリア)に付箋を3枚まで記入(5分程度)
- 1人ずつ付箋の内容を発表。発表を聞いた他の人がFun, Done, Learnの円に付箋を移動させる。(20分程度)
- Fun, Done, Learnの円を見ながら簡単に全体を総括(5分程度)
1.の3枚制限については、全員で集まると10人ほどのプロジェクトなので、30分で終えられるように記入できる付箋は1人3枚までとしています。
2.が私たちのFun, Done, Learnのアクティビティとしての肝の部分になっています。
自分でFun, Done, Learnの円のどの部分に位置するかを決めるのではなく、発表を聞いた他の人がその人の感性で動かしてもらうことで、関係性強化のための交流を促進していく狙いがあります。
全員の共有が終わって、すべての付箋がプールからFun, Done, Learnの円に移動した後、締めとして3.を行います。
これに関しては時間的な制約からも今のところはファシリテーターである自分が簡単にまとめさせてもらって終わりとなっているので、改善ポイントかと思っています。
もう少しみんなの発言を引き出して総括したり、次のスプリントはこんな風にしてみたいね、といった話ができるようになると良いかもしれません。
プロジェクトメンバーの声
初回は実験的に実施したので、アンケートを取って今後継続するかの判断材料にしました。
結果的に続けているのでポジティブな声が多く聞けましたが、その一部を抜粋して紹介します。
Fun, Done, Learnやってみようかな…と考えている方は得られる効果が想像できるかもしれません。
- プロジェクトメンバーでこのような感じのコミュニケーションをしたことが無かったので、率直に楽しかった!
- ただ仕事をするだけでなく、チーム感が少し出た
- 全員が能動的に参加できる
- ポジティブに週末を迎えられそう。
- いつもとは違ったコミュニケーションが取れてよかった
- 全員が話したり、気軽な感じの場所は定期的に欲しい
- コミュニケーションの活性化につながる
- MTGでは出来ない他のメンバーがした事や自分が取り組んだ事、雑談などが話せて相手への理解が少し深まったような気がして良かった
主にコミュニケーションの改善について評価の声が多く、「メンバー同士の関係性を前向きに強化したい」という発端に対してはうまく機能してくれたようです。
一方で、以下のような懸念の声もありました。
- 金曜日がMTGやコミュニケーション主体の予定で重くなりすぎないように気をつけたい
- 交流を深めるという意味ではよかったけど、続けていくと飽きそう
単純にMTGを1つ追加しているので、スプリントイベントで何かと重くなりがちなスプリント最終日の時間の使い方は工夫をしていきたい部分です。
「飽きそう」という点についても、惰性でアクティビティを続けていたのではいつか直面すると考えているので、次のスプリントで意識したいことの約束を立ててみるような部分まで繋げてみたり、あるいは十分に関係性の強化への効果が得られたなら打ち切ってしまうのも一つの手段かもしれません。
自分たちの活動を育てていく意識で今後もやっていこうと思います!
最後に
会社組織で働く以上は、ただタスクの処理が早い・上手いだけでなくチームとして有機的に活動できているかも“働きがい”に繋がると思うので、このような活動にも力を入れていきたいと執筆しながら改めて感じました!
ネイティブアプリに携わるメンバーは心理的安全性の高いチームを追求する姿勢をもった人ばかりです。
そして、そのメンバーたちをより力強く束ねてくれるマネージャーを絶賛募集中です。
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※ 採用に関わる内容は記事公開時点での情報となることをご了承ください。