データアナリストの大橋です。
「スペシャルスカウト*1の効果を比較できるTableauダッシュボードを、なるべく早く作ってほしい」と他部署から依頼を受けました。
社内にはすでにスカウトに関するクロス分析用のダッシュボードがありましたが、「比較しにくい」「分析軸やフィルターが足りない」などの課題があり、現場の細かなニーズをカバーしきれていませんでした。
現場の要望を反映しながら運用の中で仕様を磨き上げるために「まずはSQLベースのRedashでプロトタイプを作り、最速で価値検証を行う」アプローチを提案しました。
スピードと柔軟性の両立を目指して
最終的にはTableauでの運用を想定しつつも、初期フェーズでは機動力を優先してRedashを活用しました。これは二度手間ではなく、価値検証と効率化を両立するためのアプローチです。
Tableauの構築・修正コストの回避
Tableauはデータソース設計からリリース、データソース接続など、Redashに比べて開発手順が多く、一度運用が始まると、わずかな修正でもそれらのフローを含めたコストがRedashよりかかるという課題があります。
また、UIの自由度が高い反面、Desktopアプリとブラウザで見え方が異なるため、細かなレイアウト調整に反復作業が発生しやすく、仕様を模索するフェーズではこの付随コストが大きな負担になります。
思考をダイレクトに可視化するRedash
一方でRedashはSQLで直接ロジックを管理できるため、思考や修正を即座に反映できます。仕様が未確定な段階では、あえて「UIを作り込まずにロジックを磨き上げる」ほうが圧倒的に初速を出せます。ここで「必要な集計軸」を確定させておくことで、後の大幅な作り直しを防ぐ狙いもあります。
アジャイルな開発サイクルと動く仕様書
SQLベースで迅速にプロトタイプを提供することで、現場の熱量が冷めないうちに改善サイクルを回せます。また、Redashで磨き上げたSQLはTableauのデータソース設計に転用できるため、作業が無駄になることはありません。
直面した課題と標準フィルターの限界
絞り込み条件や分析軸を柔軟に変更したいという要望に対し、当初はRedashの簡易フィルター機能(フロントエンド制御)も検討しました。
一度のクエリ実行で済むためDB負荷を抑えられる利点がありますが、今回は以下の理由から採用を見送りました。
計算ロジックの不整合
絞り込み時に「返信率」などの割合計算の分母・分子が再計算されず、数値がずれてしまう課題がありました。
一覧性の欠如
送信数や返信率を並列比較したいという要望に対し、1つのグラフ内での切り替えしかできず、一覧性に欠ける面がありました。
複雑な軸の指定
「特定の基準日から数えて何通目のスカウトか」といった動的な条件を伴う分析において、フロント側の制御だけでは対応が困難でした。
RedashでTableau並みの操作性を実現するためのTips
計算の正確性と一覧性を両立するため、Redashの機能をフル活用した以下の構成を採用しました。
サーバーサイド・パラメータへの集約
すべての計算をSQL側で完結させ、絞り込み後も常に正確な割合が算出されるようにしました。
ダッシュボード共通パラメータの活用(Dashboard Level Filters)
全グラフのパラメータを同期させ、上部一箇所の操作でダッシュボード全体を制御可能にしました。
用途に応じた最適なインターフェースの選択
日付指定には「Date」、企業名にはマスタから動的に情報を取得する「Query Based Dropdown List」を採用。また、「Allow multiple values(複数選択)」により、比較分析の自由度を高めました。

このアプローチで得られた成果と最終的な判断
Tableau移行を前提としたこのプロセスには、結果として大きなメリットがありました。
現場の要望を早期回収し、仕様を具体化
実際に動くものを迅速に提供することで「改善要望の早期回収」が実現しました。運用の中でフィードバックを得ることで、「本当に必要な分析軸」を具体化できました。
複雑なロジックをSQLで迅速に実装
動的な基準日からの通番分析のような、BIツールの標準機能では構築難易度が高いロジックも、SQLベースのRedashだからこそ柔軟に実装できました。
活用範囲の拡大とチームへの波及効果
利便性が評価され、スペシャルスカウトだけでなく通常スカウトの分析にも活用範囲が広がりました。
また、この知見を他のアナリストにも共有したことで、「Redashでも工夫次第でTableauに近い操作性のダッシュボードが作れる」という認識が広まり、開発スタイルの幅が広がりました。
こうした経緯から、現状の構成が最も柔軟にニーズに応えられると考え、Redashでの運用を継続することにしました。
最後に
このように、私たちは「どのツールを使うか」という手段に固執せず、ビジネスのスピード感と技術的な合理性のバランスを追求しながら開発や分析を進めています。
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